「屋上緑化」「屋上庭園」「屋上利用」の意義について、プラス、大丸心斎橋店の思い出 〔引っ越し掲載〕

〔(建築家+建築屋)÷2 のブログ 第16回〕
  「屋上緑化」というものが、最近、話題になることが多くなってきています。「屋上庭園」という用語は、実際の建物においての形態としては「屋上緑化」とほぼ同じものを言うのですが、「屋上緑化」という用語を使用した場合は、自然環境保護とか、CO2削減による地球温暖化防止、都市の緑化促進とかいった、社会おおやけの為に、自然を守ろうという視点から言われるのに対して、「屋上庭園」という用語を使用した場合には、自宅やオフィスビルその他・その建物の所有者・使用者が利用できる価値の方に重心をおいた表現で、屋上を利用するという利用法としては、緑化した庭園に限らず、又、緑化による自然環境保護・促進とは無関係な利用法も考えられるので、その点からすれば、「屋上庭園」という表現よりも「屋上利用」等の表現の方がふさわしい場合もあると思います。

  「屋上緑化」に関して私が今までに読んだ書物としては、船瀬俊介『プロも知らない「新築」のコワサ教えます』(1998. 築地書館)に、
≪ 「緑が増えない、もう植える場所がない」 
  東京都の嘆きである。都は、世界の大都市TOKYOを緑豊かな街にしよう――と、1985年、「緑の倍増計画」をスタートさせた。そして13年目、この間、都の緑化予算は毎年1000億円規模の巨費にたっしている。公園を増やしたり、樹木を植えるなど、緑化事業に取り組んできた。
  ところが、緑におおわれた面積をしめす「緑被率」は、増えるどころか、逆に減少しているのだ。毎年、これだけの血税を投入してどうしたことか?
  15年まえの1972年、23区内の「緑被率」は22.5%、それが95年には22.3%と減少傾向。その理由が「もう、植える場所がない!」という嘆き。
  私は「いったいどこに目をつけているのか」といいたい。
  広大に広がる灰色のデッドゾーン、ビルの屋上があるではないか。
  ・・・・・・・・毎年1000億円もの予算があれば東京の街並みはみるみる緑の沃野へと変わっていくはずだ。・・・・
  ・・・・・・・・ダムや護岸工事に名を借りた自然破壊から、「屋上緑化」という緑の公共事業へ――。政府も自治体も、そして建設業界も、この広大な“緑のマーケット”をめざしてほしい。・・・・≫ と述べられています。

  但し、たとえば、菅原聰『人間にとって森林とは何か』(1982. 講談社 ブルーバックス)には、
≪ ・・・・森林の蒸散作用に際して大量の熱を用いるので、森林の存在は、熱放散による地域の気温緩和に大きな意味を持つとされる。熱汚染に悩んでいる大都市においても、周辺に森林が存在していれば、過剰の熱を放散させてくれるので、都市環境のアメニティ度は高まるであろう。
   樹木は、二酸化炭素を吸収して酸素を供給することによって大気を浄化するだけでなく、大気中の汚染物やちりやほこりを吸着させて大気を浄化している。すなわち、大気中の浮遊粉塵濃度は、・・・・森林内では、外に比べてつねに低くなっている。これは、林の樹冠部の葉によって粉塵が捕集されるからだろうと考えられている。
   しかし、汚染物やちりやほこりは樹木にとっても有害物質であることが多く、過度になると樹木が枯死することを知っておかなければならない。≫
と述べられているように、あまりにも過度に植物に自然環境回復の効果を期待するのは、植物を、人間と同じく生物であるということを忘れた考え方で、気をつけなければならないでしょう。

  ビルの屋上の緑化としては、2001年、パリに行き、パリのシャルル=ドゴール=エトワール広場の凱旋門の屋上からパリの街を見た時、日本と違って、ビルの屋上に植物が植えられているビルが少なからずあるのを見て、違いを感じたことを覚えています。
  ちなみに、パリの(シャルル=ドゴール=エトワール広場の)凱旋門について、『地球の歩き方 フランス』(ダイヤモンド社)に、「登って楽しい凱旋門」と書かれていて、パリに行く前、それを見て、「門」というと、浅草寺の雷門とか東大の赤門とかを思い浮かべ、そんなもの登ってどないすんねん・・・・・と思ったのですが・・・特に、東大の赤門あたりによじ登って「つくつくぼーし、つくつくぼーし」とか鳴いてみせて、なんか、受験に成功したのか失敗したのかわからないけれども、ちょっとあぶなそうな人て感じの行動を、それをパリまで行ってやって、日本人の女子大生数人連れの観光客とかから「なんか変な日本人いるよお」「ちょっと離れていよおよーお」とか言われてみるというのも、もしかして「楽しい」???? そんなアホな・・・・・・と思って、パリに実際に行ってみると、シャルル=ドゴール=エトワール広場の凱旋門は、「門」とはいっても、5階建てか6階建てくらいのビルほどもある「門」であり、地上から見た姿も存在感があるのですが、それ以上に、登って屋上からパリの街を見ると、道路が幾方向にも広がっている フランス語で星という意味の「エトワール[ etoile ]」広場の中央にあることもあって、その景観はすばらしく、そして、それは、確かに「楽しい」景観でもあり、「登って楽しい凱旋門」という意味がわかりました。

  日本では、兵庫県西宮市の甲子園球場は、ずいぶん前から、外壁につたがはっていたと思います。「屋上緑化」ならぬ「壁面緑化」です。

  「環境問題」と言った時、住宅を建てよう・購入しようという方にとっては、「シックハウス症候群」「室内化学汚染」といった自分が住む住居内の環境の問題と、社会全体の自然環境の問題との2つの「環境問題」があって、私が初めて住宅建築の会社で仕事をしだしてからすでに20年を超えましたが、その間の経験からすると、これから住宅を建てようという方の場合、自分の建てる住宅の室内環境については、大変、関心が深いのですが、社会全体の環境問題については、自然環境は良くなるにこしたことはない、という程度にしか考えていただけない場合が多く、住宅建築の会社としては、これから建てよう・購入しようとされる方にお話しするのには、「屋上緑化」という話し方をさせていただくよりも、「屋上庭園」とか「屋上利用」という話し方をさせていただいた方が受け入れられやすいのではないかという気もいたします。
  
   「屋上利用」としては、RC造(鉄筋コンクリート造)のビルの屋上については、比較的早くから利用されてきたように思います。
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  上の建物は、ウィリアム=メレル=ヴォーリズ〔一柳米来留(ひとつやなぎ めれる)〕(1880-1964)が設計した大丸・心斎橋店本館(1922-1933年建築。大阪市中央区心斎橋筋一丁目。最寄駅:大阪市地下鉄 御堂筋線・長堀鶴見緑地線「心斎橋(しんさいばし)」。 現在は、J.フロントリテイリング株式会社の傘下の株式会社大丸松坂屋百貨店が運営。)の写真で、北西側(御堂筋側の北側)から撮影したものです。

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       大丸 心斎橋店本館 御堂筋側(西側)入口 ↑

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       大丸 心斎橋店本館 心斎橋筋側(東側)入口 ↑

  建築家でキリスト教の伝道者で実業家であったウィリアム=メレル=ヴォーリズが設計した大丸 心斎橋店本館は、御堂筋側(西側)と心斎橋筋側(東側)で、異なった表情を持ち、よく見ると、こんなことしてたんだあ・・・と気づくところが多く、「アール=デコ」の様式だという威厳のある外観は、「大阪では一番の老舗百貨店」「東京の三越に並ぶ西の横綱・大丸」という店のコンセプトに合致したものです。
  私は、子供の頃、親に連れられて大丸心斎橋店(の現在の本館)に行き、屋上にあった、ミニ遊園地で、最近のジェットコースターよりはずっとゆっくり走る子供向けで健康的なジェットコースターに乗せてもらったのを覚えていますが、その頃、1960年代、日本の百貨店の屋上には、大丸に限らず、ミニ遊園地があって、最近のジェットコースターよりずっとゆっくり走る健康的なジェットコースターがあることが多く、それとともに、屋上は、熱帯魚やペット・観葉植物などの販売所になっていたことが多かったように思います。
  最近、大丸心斎橋店本館の屋上に行くと、かつて、そこで遊んだミニ遊園地はなくなり、健康的ジェットコースターもなく、イギリス式庭園だかに変わっていました。屋上に緑の庭園を作ったようですが、子供の頃、ミニ遊園地で楽しんだ者としては、それがなくなったのは、少し悲しい気持ちもします。

  ビル建築とは違って、戸建て住宅の場合は、長く、屋上を利用するということはあまり多くなかったように思います。又、大学卒業後、私が初めて住宅建築の会社に勤めた1980年代後半、これから住宅を建てようという見込客の方とお話すると、「積水ハウスとかダイワハウスとかの鉄骨造の建物だと、たいてい『ぺったんこの屋根』になるのに対して、木造とかツーバイフォーとか木質プレハブとかの建物だと『屋根という感じの屋根』になるから、『屋根という感じの屋根』の家に住みたいので、鉄骨造ではなく、木質系の所で建てたい」と言われる方が少なくありませんでした。
  「ぺったんこの屋根」というのは、正式な建築の用語では、「陸屋根(ろくやね)」というもののことで、「屋根という感じの屋根」というのは、「寄棟(よせむね)」「切妻(きりづま)」「入母屋(いりもや)」といった屋根のことを言うのですが、建築の研究者でも業者でもない、これから家を建てようという一般の方の感覚としては、「ぺったんこの屋根」「屋根という感じの屋根」という表現の方が、むしろ、実感に沿った表現かもしれません。
  その頃は、鉄骨系の住宅建築会社の建物は「ぺったんこの屋根」の建物が多かったのですが、その後、鉄骨系の住宅建築会社も、「屋根という感じの屋根」の建物を多く建てるようになり、最近では、鉄骨系の住宅建築会社でも、「ぺったんこの屋根」の建物よりも「屋根という感じの屋根」の建物の方が普通になってきているように思います。

  「屋上利用」と「ぺったんこの屋根」は意味が同じであるわけではなく、「ぺったんこの屋根」(陸屋根)の建物であれば屋上を利用できるわけではありません。
  ただ、「ぺったんこの屋根」(「陸屋根(ろくやね)」)の建物と「屋上利用」には共通した問題があります。
第一に、防水・雨漏れを起こさないかどうか、という点、。 水の流れは、勾配が急であるほど流れやすく、ゆるかやであれば、それだけ流れにくくなり、屋根材の材質・屋根の施工内容によっては、雨漏れを起こす原因になるのですが、「屋上利用」及び「ぺったんこの屋根」(「陸屋根(ろくやね)」)の場合、「勾配が極めてゆるやか」ということになるので、雨漏れを起こさないかという点が心配されるのです。
第二に、「屋根という感じの屋根」(「寄棟」「切妻」「入母屋」といった屋根)であれば、夏の昼間、屋根が強い日差しに照らされた時に、屋根と最上階の天井との間に「小屋裏(こやうら)」という部分があり、「小屋裏」の部分が暑くなっても、そのかわりに、小屋裏の下の最上階の部屋が暑くなりにくいという、暑さ寒さの緩衝帯としての役割を「小屋裏」がはたすのですが、「ぺったんこの屋根」(「陸屋根(ろくやね)」にしたり、「屋上利用」にすると、その、暑さ寒さの緩衝帯としての「小屋裏」がなくなるので、特に、夏場など、最上階の部屋が暑くならないか、エアコンを利用するのであれば、その分、光熱費が多くかかるのではないのか? という疑問がでるのです、。

  この2つは、「屋上利用」と「ぺったんこの屋根」〔「陸屋根(ろくやね)」〕に共通するものですが、
第三に、外観の好みの問題があり、「屋根という感じの屋根」の外観にしたいという希望が強ければ、デザイン上の好みについては人それぞれであるので、「屋根という感じの屋根」にしたいという希望が強ければ「屋上利用」しないのであれば「ぺったんこの屋根」(「陸屋根」)にはしない方が良いでしょうし、もしも、「屋上利用」を希望して、かつ、最上部が「ぺったんこ」のデザインでは嫌ということであれば、最上部が「ぺったんこ」であっても、デザイン上、すぐれたデザインにする工夫をするという選択、屋上をすべて「ぺったんこ」にするのではなく、一部分のみ「屋上利用」をして、一部分は「屋根という感じ」にする、という選択肢が考えられるでしょう。

  この、第一の防水・雨漏れを起こさないかという問題については、「屋上利用」に限ったことではなく、バルコニーの設置においても、問題とされてきたことで、バルコニーの設置も、施工が適切でなければ、雨漏れの問題を発生させるものでありました。

  ビルの屋上における「屋上緑化」については、これまでから、ビルの屋上は「ぺったんこ」であることが多かったので、問題としては、土を入れて植物を育てた時に、防水上、これまでと違った問題はでてこないかということと、植物の根が張ることで影響はないのか・・といった心配はでてきますが、「ぺったんこ」であることから問題が出てこないか、という点については、これまでから多くのビルの屋上は「ぺったんこ」であったので、それほど心配されないことが多いようですが、戸建て住宅、特に、木質系の戸建て住宅では、「ぺったんこの屋根」を採用することは、今まで多くなかった為に、「ぺったんこ」で大丈夫かと心配されることが多いようです。
  さて、戸建て住宅・木質系住宅の新築・リフォームで、「屋上緑化」「屋上庭園」「屋上利用」をしようと考える方には、やはり、その防水・雨漏れの心配と小屋裏がないことから断熱性能が低下しないかという点が心配なのではないかと思いますし、その問題をクリアできれば、自宅への採用を考えたいという方は少なくないのではないでしょうか。

  それで、結論としては、住宅建築の技術の向上はめざましく、(1)「屋上利用」をしない場合よりも雨漏れを起こしやすくなるという心配はなく、(2)「小屋裏(こやうら)」部分がなくても、それ以上に断熱性能を向上させて、夏場、最上階の部屋が暑くてたまらなくなる、それによって光熱費が高くなるという心配はない、という条件で、「屋上緑化」「屋上利用」ができるようなのです。

  どういう理由によってか・・・については、次回以降にさせていただいて(私が述べなくても述べられているものはあるかもしれませんが)、ここでは、「雨漏れ」「最上階との断熱」の問題をクリアした「屋上緑化」「屋上利用」を取り入れるのは、どういう場所、どういう住宅で取り入れるのが適するのか、について少し考えたいと思います。

  「屋上利用」は都心部に近い狭小敷地に向いている・・・と思われがちなのですが、そうなのかな? と私は疑問も感じるのです。
  戸建て住宅を建てる場所として、(1)都市の中心に近い場所、(2)都市へ通勤する人などが住んでいて、戸建て住宅が多いが、敷地面積が比較的狭い住宅が多い場所、 (3)それよりも都市の中心より離れ、自然環境も悪くはなく、(1)(2)よりは広い敷地の住宅が多い場所、の3つを考えた時、「屋上利用」は(1)の場所で建てる方に向いていると考えられることが多いようです。 ひとつには、「屋上利用」ではなく「屋上緑化」として考えた場合には、東京都などでは助成金が出るらしいのに対して、郊外になれば、助成金はでない場合が多いらしいということもあるようです。
  しかし、「屋上緑化」として考えるなら、都市の中心に近い場所で助成金が出るのはわかりますが、「屋上利用」として考えるならば、郊外で「屋上利用」をして悪いことはないはずなのです。

  私は、現在、千葉県に居住し、千葉県の住宅建築の会社に勤務していますが、東京都から千葉県にかけてでは、上の(1)(2)(3)としては、具体的には、(1)としては、東京都の江東区・墨田区・江戸川区あたり、(2)としては、千葉県の八千代市・習志野市・千葉市花見川区あたり、(3)としては、千葉市の中央区の東部・南部から緑区、東金市・大網白里町にかけてを想定して私は考えています。
  私は、(2)として想定した、八千代市との境目付近の千葉市花見川区で建売住宅を購入したばかりという方から、「戸建ての家を買ったといっても、土の部分が全然ないんですよ」と自宅を手に入れたにしては少し悲しそうに言われたことが実際にありました。そう言われて、そのお宅を見ると、確かに、住宅の建物が建っている場所と隣地とのごくわずかな間以外は、門から玄関までのアプローチとクルマの駐車スペースだけで、それは、すべてモルタル仕上げになっていて、「土の部分」は、本当にまったくなかったのです。これでは、たしかに、その方が言われたように、「せっかく、マンションではなく、地面のある戸建ての家を買ったのに」ということになります。 住宅を建てると、クルマの駐車スペース以外には、ほとんど地面がないという場合には、たとえば、駐車スペースすべてをモルタル仕上げとせず、車輪が主に通る場所だけをモルタル仕上げとして、それ以外の部分には芝生を植えるとか、あるいは、モルタル仕上げとしないで、砂利敷きくらいにする、などの方法を取った方が良いと私は思います。
  こういうケースで、「屋上利用」を考えても悪くないと思います。(1)のケースで「屋上利用」をしていただいても良いし、「屋上緑化」として社会貢献するとともに「屋上庭園」として楽しめますが、周囲に高層のマンションが建っている場合には、家の最上部である屋上は、その家において、周囲のマンションの窓から最もよく見える場所であるのに対して、(2)のケースのように、敷地の面積が狭くても、戸建て住宅が集まっている場所であれば、周囲のマンションから見下ろされることはなく、屋上はプライベートな庭として利用できます。助成金がでなくても、(2)のケースでは、十分、意味のある役立つスペース・役立つ機能として「屋上庭園」「屋上利用」を考えて良いと思います。

  (3)の場所では、「屋上緑化」なんて意味がない・・・と言う方が少なくありません。周囲に緑は十分にあり、庭もある程度以上取れるのに、屋上なんて・・・・と。 しかし、そうでもないのではないか、と私は思うのです。私が前に在籍した会社において、福島県で、お父さんと息子さん夫婦は平屋がいいと言われ、お母さんだけが2階建がいいと言われて、最終的には平屋の二世帯住宅の戸建てを建てられたという方がおられました。土地の広さは十分にあり、平屋で十分な間取りはできましたが、お母さんに、2階建てがいいと思われる理由をきくと、「ずっと、平屋の家に住んできたから。2階があると、見晴らしもいいし、いいじゃない。2階に住んでみたいわあ」と言われました。たしかに、平屋で十分な間取りができるから2階はいらない、という考え方もある一方で、平屋で十分な間取りができても2階があっていいじゃないか、という考え方もできると思います。それと同じく、「屋上庭園」を取らなくても地上に十分に庭を取れるとしても、それでも「屋上庭園」があっていいじゃないか、という考え方もできるのではないでしょうか。実際、十分に庭が取れる住宅でも、2階にバルコニーを取っている家は少なくないはずなのです。
   「十分に庭が取れるのに、何も『屋上庭園』なんかしなくても」と言う方の多くは、「何も『防水・雨漏れに不安のある』『屋上庭園』なんかしなくても」という意識があるのではないかと思います。 気持ちはわかりますが、「防水・雨漏れに不安が」なければどうでしょうか?  「施工が悪ければ」ということならば、バルコニーも「施工が悪ければ」防水・雨漏れの不安がありますし、「屋上庭園」「屋上利用」をしなくても、「屋根という感じの屋根」でも「施工が悪ければ」雨漏れを起こします。雨漏れの問題だけを考えれば避けた方が良いことをやっている家はけっこうあって、「天窓(トップライト)」にしても「ドーマー(リカ―ノン)」にしても、施工が悪ければ雨漏れにつながります。

   もし、屋上が利用できたら何をするでしょう? 私は、中学校の1年の時に「理科」の「第二分野」の授業で、天体観測を扱った時、先生の推薦で 鈴木敬信『はじめての天体観測』(1964. 誠文堂新光社) という本を読み、家の前の道路から空を眺め、あれがオリオン座・・・・と星座を捜し、それ以来、夜道でも空を眺め、今もオリオン座くらいは見つけることができます。ところが、最近、街灯が明るくなりすぎて、又、照明灯のようなマンションができてしまって、星座が見にくいのです。照明灯マンションはさておき、屋上であれば、明るすぎる街灯よりも上の位置ですから、星座も見やすいし、又、家の庭や道路では、周囲に住宅などがありますが、郊外での屋上であれば、360度、空を見ることができます。 星座なんか見てどうするんだ・・・などと夢のないことは言わないでほしいと思います。理科のお勉強になりますし、それよりも、携帯電話で有料のゲームをピコポコピコポコやってるよりは、星座を見る方がよっぽどいいと思いませんか? 中学生くらいにとっても大人にとっても。視力のためにもピコポコピコポコとゲームをやるより星座を見る方が良いと思います。
   そして、もうひとつ。イブ=モンタンが歌った「枯葉」という歌で有名なフランス映画『夜の門』で、「俺は人生だ」という男が「人は慣れた道でこそ道を迷う。もしも、自分を見失いそうになったら、夜の道を歩いてみるといい。夜の道を歩きながら自分の足音を聞くと、自分を取り戻すことができる。」と語る場面があったと思います。ところが、この言葉を実行してみようとしても、船橋市の私が住んでいる近所の夜の道は、街灯が明るすぎて、映画『夜の門』の登場人物が語るようにはいかないのです。又、痴漢がでたという話があったりすると女性には不安でしょうし、男性でも、不良高校生だか中学生だかが数人で40台のサラリーマンを襲ってカネを奪ったなどというニュースがあったりで、夜の道を歩きながら自分を振り返るのも簡単ではありません。 もし、自宅の屋上が利用できたなら・・・・・、夜の空を見上げながら、自分を振り返る・・・・。 心に流れるバックミュージックはイブ=モンタンが歌う「枯葉」・・・・。悪くないと思いませんか?
   健康診断で、「コレステロール値が高め」とか「中性脂肪」が高めとか言われると、最初言われた時、ショックを受けませんか? なんとかしようと思っても、仕事で疲れて帰ってきた後で、服を着替えて外を走るのは気持ちがなえてしまって、何回かやっても、そのうちやらなくなって・・・とか。 私の自宅には、木刀の「中刀(ちゅうとう)」があります。武道具屋で買ってきたもので、木刀を振る動作は、手のツボを刺激することになり、体力づくりとともに健康増進・精神安定につながるとされ、――ついでに、車田正美の『風魔の小次郎』と白土三平の『カムイ外伝』という2つの漫画の影響で――木刀を買い、自宅で振ったりしてきました。「中刀」というのは、一般的な剣道の竹刀などよりも少し短いのです。なぜ、少し短い「中刀」にしたかというと、一般的な竹刀や木刀であれば、2m40㎝の天井高の部屋で振ると天井にぶつかるのですが、私が持っている「中刀」で私くらいの身長の人間が使えば天井にぶつからないのです。仕事で疲れて帰った後で、服を着替えて外を走るのは大変であっても、特に服を着替えずに、家中で「中刀」を振るくらいならできて、外を走るよりは運動効果は低いとしても、やらないよりはずっといいのではないでしょうか。しかし、天井にはなんとかぶつからないのですが、照明器具にはぶつかるのです。ぶつからないように気をつけてやるのですが、ときどき、ひやっとします。庭でやっても良いのですが、我が家は、なんとか、わずかに庭があるものの狭く、庭で振っても、何かにぶつけたりするのです。屋上を利用できたなら、こころおきなく、木刀の素振りができるでしょう。但し、万一、手を滑らせて地上まで落としたら、特に、道に落とすと通行している人に迷惑ですから、その点は十分に配慮して、かつ、木刀は木でできていますが、ゴルフのクラブは金属なので、ゴルフのクラブの素振りは、万一、手を滑らせても大丈夫なように囲いを設けるのでなければ、やはり、屋上ではやめた方が良いかもしれません。
  道具を使わない運動、特に、下に振動をあたえないような運動なら、屋上でやるのもいいかもしれません。「太極拳」なんかどうでしょうか。私も、太極拳の練習を、かつて、やりかけたことがあるのですが、自宅でやろうとすると、部屋の中にしろ、庭にしろ、少し動くとぶつかってしまってやりにくいのです。屋上なら、その点、部屋より庭より広くていいのではないでしょうか。もっとも、太極拳やってますーと近所からよく見えるかもしれませんが。
  「屋上緑化」と表現すると植物を植えなければならないように思えますが、庭があるけれども広くないという場合には、地上の庭に樹木・草花・野菜を植えて、太極拳なり、物を落として近所迷惑にならないような体操をする場所を屋上にするということもできるでしょう。逆に、地上の庭がある程度とれるが日当たりが良くないという場合なら、屋上の庭で植物を育て、地上の庭で縄とびをする、野球のバットの素振りをする・・・といったこともありではないでしょうか。
  向こうの山の上まで自分の所の土地・・・とかいうくらい広い敷地なら、庭はいくらでもあるから屋上はいらないという考えもあるでしょうけれども、せいぜい、50坪か60坪くらいの敷地なら、庭は広くとれるならより広い方が良いでしょうから、地上の庭にプラスして屋上の庭を作るのも悪くない。 庭が十分に広く取れてもバルコニーを2階に設ける方が少なくないのと同じく、300坪くらいの敷地が取れるのであっても、「屋上庭園」「屋上利用」は悪くない・・・・。
  こう考えてみると、郊外でも、あるいは、「いなか」でも、敷地の広い家でも、「屋上庭園」「屋上利用」は十分、採用して悪くないものに思えてきます。 貧乏人が狭い敷地の家で「屋上利用」をするのもありなら、田園調布の駅の西側の邸宅で「屋上利用」を取り入れても悪くない・・・・。

  こう考えると、「屋上庭園」「屋上利用」は、夢が広がり、様々な可能性が考えられます。
  
  但し、屋上から、土や砂を隣家に飛ばせば隣家は迷惑し、特に、隣家が「屋上利用」をしていない場合には「お互いさま」にはなりませんから、そのあたりのマナーも考えて計画する必要はあるでしょう。
  又、隣家と距離がそう離れていない場合には、窓の位置なら隣家とずらせて設けるということもできますが、屋上となると、すべての場所が窓のようなものですから、そのあたりも考慮する必要がでてくるかとも思います。「屋上利用」の方向が「屋上緑化」であれば、この点は、比較的問題ないかもしれませんが。
  民法では、隣地境界線から1メートルの距離がない隣地に向いた窓・縁側には目隠しを設けなければならないという規定があります。民法第235条に「境界線ヨリ1メートル未満ノ距離ニ於テ他人ノ宅地を観望スヘキ窓又ハ縁側ヲ設クル者ハ目隠を附スルコトヲ要ス」とあり、同条第二項に「前項ノ距離ハ窓又ハ縁側ノ隣地ニ近キ点ヨリ直角線ニテ境界線ニ至ルマテヲ測算ス」となっており、「窓又ハ縁側」という文章に屋上が該当するかどうかは微妙ですが、法律が規定している趣旨については、屋上においても、尊重する必要はあるのではないでしょうか。
  バルコニーの場合、多くの家は南側に設け、北側に設ける家は少ないので、バルコニーとバルコニーが面と向かうことは多くないのですが、屋上をフルに利用すると、高い位置で隣家と顔を合わすことになりますから、そのあたりの配慮も必要になるかもしれません。

  「屋上利用」が可能となって選択枝が広がりましたが、夢が広がるとともに、適切な設置と利用を十分に考えて計画を進めていく必要があるでしょう。



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「登って楽しい」?・・・・・?????
東京大学(本郷キャンパス)「赤門」〔元・加賀前田家 屋敷 赤門(1827)重要文化財〕↑ (東京都文京区本郷。 最寄駅:東京メトロ 丸の内線・都営大江戸線「本郷三丁目」他)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
東大の「赤門」については
「ウィキペディア――東京大学の建造物」 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%BB%BA%E9%80%A0%E7%89%A9    もしくは、
「東京大学」ホームページ「歴史的建造物の紹介」 http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/fac/fac3/b07_04_j.html#1

パリ・シャルル=ドゴール=エトワール広場の凱旋門については、
「ウィキペディア――エトワール凱旋門」  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%87%B1%E6%97%8B%E9%96%80

ウィリアム=メレル=ヴォーリズ については、
「ウィキペディア――ウィリアム・メレル・ヴォーリズ」 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%BA あるいは、
「ヴォーリズミュージアム」 http://vories.com/index.html   あるいは、
「一粒社ヴォーリズ建築事務所」 http://www.vories.co.jp/ など参照。

大丸心斎橋店 については、
「ウィキペディア―大丸」 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%B8%B8  などを参照、

イブ=モンタンについては、
「ウィキペディア――イブ・モンタン」 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B3

車田正美『風魔の小次郎』については、
「ウィキペディア――風間の小次郎」
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E9%AD%94%E3%81%AE%E5%B0%8F%E6%AC%A1%E9%83%8E
車田正美 公式サイト http://www.kurumadapro.jp/huumanokozirou.html

白土三平『カムイ外伝』については、
「ウィキペディア――カムイ外伝」 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%A0%E3%82%A4%E5%A4%96%E4%BC%9D

他をご参照ください。

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以上は、「私が勤務する建築会社のホームページとリンクした私のブログ」に掲載した、そのブログの第16回のもので、この第16回≪「屋上緑化」「屋上庭園」「屋上利用」の意義について、プラス、大丸心斎橋店の思い出 ≫は、2010年(平22年)9月23日に「公開」させていただいたものです。 事情により削除いたしましたが、私は、削除したものは内容のあるものと思っており、又、いったん、「公開」したものは、作成者のみのものではなく、賛否にかかわらず、読んでくださった方・読みたいと考えてくださる方と共有のものという性質をもっており、作成者といえども、「記憶違い」のものの訂正、補足、「入力ミス」の訂正などは良いと思いますが、完全な削除は、好ましくないと考え、ここに、「引っ越し掲載」させていただきます。(建築家+建築屋)÷2 〔より正確には (49×建築家 + 51×建築屋)÷100〕 のブログ 、もしくは、。(建築家+建築屋)÷2のブログ と記したものは、「引っ越し掲載」です。 よろしくお願いいたします。
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 〔 この稿は、「哲建ルンバ」としては、第18回ということになります。 〕




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