田園調布駅(3)独特の屋根の駅舎、放射状道路の扇の要の位置の駅前広場-田園調布と教会【3/14】

[第367回] 日本の教会 シリーズ
   東急東横線・目蒲線「田園調布」駅は、「関東の駅 百選」に選ばれた・・・といっても、「関東の駅 百選」てのが「たいしたことない」ものではあるが、田園調布駅 旧駅舎は、渋沢栄一が「田園都市」構想として計画した放射線状に街路が広がる田園調布の駅の西側の扇の要の位置を占めており、規模は大きくないが、なかなかおしゃれな建物です。 「関東の駅 百選」よりも、むしろ、東京建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)でとりあげられている、又、山口廣 監修・江口敏彦 著『東京の近代建築―建築構造入門』(1990.11.25. 理工学社)で、「1章 洋風の木造建築」の「1.あこがれと郷愁「田園調布駅」 」としてとりあげられている、という方が、まだしも、値打ちがあるかもしれません。
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( ↑ 「i」が田園調布駅。 )
≪ 東京でも、過去には、かなり緑や街並みを重視して、街全体を計画した例があります。
   誰もが一度は住んでみたいと思うところ。もはや高級住宅街となってしまいましたが、日本人なら誰もが知っている街、それが田園調布です。田園調布は、渋谷から東急東横線で約10分ほどのところにあります。ここでは、芸能人・スポーツ選手・政治家など、著名人の住宅が軒を並べ、華やいだ雰囲気をかもし出しています。
   田園調布は、大正13年(1923年)、日本経済界の重鎮であった渋沢栄一の提唱によって建設された計画的な街でした。古くは平城京や平安京などで見られましたが、日本ではこのように整った年の計画はあまり例がありませんでした。しかし、平城京や平安京が中国の影響によって「道」を重視した碁盤目状であるのに対し、田園調布は、西洋の「広場」を重視した構成になっています。田園調布は西洋風の街区計画の最も早い例のひとつとしてということができます。
   広場を中心として放射線状に道路が延び、さらに同心円状の道路が組み合わされて扇形を構成するこの計画は、1800年代の終わりごろからイギリスあたりで盛んに論じられていた「田園都市」の考え方をもとにしてつくられたものでした。建築物の屋根や窓、あるいは平面形などにも曲面や曲線を用いる西洋的な発想は、都市計画においても、曲線の道をすんなりと導入することができたのかもしれません。
   田園調布では、道に沿って雰囲気のある家いえが並びます。しかし、それらはブロックの塀などで囲われて各戸が完全に閉鎖するのではなく、生垣や土地の起伏を利用して道から隔てられており、どちらかといえば開放的なつくりとなっています。他の住宅地と違った印象を与えるのはこのような理由があるからです。
   田園調布駅は、このような計画的な住宅地のなかに建っています。駅舎は、扇形の要の位置にそのかわいらしい姿を見せてくれます。木造二階建ての赤い屋根は、ヨーロッパ風の街路計画銀杏(いちょう)並木とみごとに調和しています。・・・・・
   田園調布の駅舎に用いられているような小屋組みを「洋小屋」(ようごや)といいます。洋小屋では、軒桁ではなく、「敷き桁」(しきげた)の上に「陸梁(ろくばり)」をかけ、陸梁の上に二本の材を山形に組み合わせます。これを「合掌」(がっしょう)と呼びます。・・・・ 和小屋では、農家などによく見られる「寄せ棟」のほか、「片流れ」、「切」り妻」、「入り母屋」(いりもや)、「方形」(ほうぎょう)などの屋根をつくることができますが、洋小屋のなかには、「のこぎり小屋」、「アーチ小屋」、「マンサード」などがあり、のこぎり(鋸)のような形の屋根やかまぼこ形の屋根、さらに下のほうの勾配が急で上のほうが緩勾配になっている屋根などもつくることができます。田園調布駅の赤い屋根は、このマンサード屋根になっているのです。
   さらに、赤いマンサード屋根には、微妙な曲線が加えられ、よりロマンチックな雰囲気を盛り上げています。赤い屋根と対照的なクリーム色の壁には真っ白な桟を繊細に割りつけた窓がはめ込まれています。 ・・・
   イギリスの田園都市をモデルにした日本の小さな街のシンボルは、マンサード屋根と洋風窓をもった西欧風の小さな駅舎でした。 ・・・ ≫
( 山口廣 監修・江口敏彦 著『東京の近代建築―建築構造入門』1990.11.25. 理工学社 )
   もっとも、江口敏彦さんは「マンサード屋根と洋風窓をもった西欧風の小さな駅舎」と書かれていますが、田園調布駅の屋根は、「マンサード屋根」とも、ちょっと違うようにも思います。
   「建築家ぶりっ子」が設計した建物というのは、屋根が無茶苦茶というものが多い。それでは雨漏れ起こすのと違うか、屋根とは何かということが根本的にわかってないのではないかと思われるものが多い。「世界の丹下健三」設計の東京カテドラル聖マリア大聖堂なんて竣工時から雨漏れしたらしいが、あれは「ゼネコンの能力を使用した巨大な彫刻」であって建築ではないと思う。田園調布駅駅舎の場合、独特の屋根形状であるとともに、これなら、雨漏れ起こしそうということはないのではないか、と思われる。その点は評価したい。
※ 《ウィキペディア―マンサード屋根》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%89%E5%B1%8B%E6%A0%B9

≪  高級住宅地として知られる田園調布の玄関口。放射状に配置された街路の中心点に建つ東急東横線の駅舎で、小規模ながら、ドイツの民家風のしゃれた建物である。 全国どこへ行っても同じような無性格な駅舎がめだつ中で、これほどその街の重要なポイントになっている駅舎も珍しい。
   田園調布は、実業界の大立物 渋沢栄一の構想に基づく郊外住宅地で、大正7年に田園都市株式会社を設立して造成、分譲を開始し、ついで目黒蒲田電鉄会社を起こして鉄道を引いたものである。当初は多摩川台と呼ばれ、駅の西側が放射状の住宅地、東側が商店街として計画されている。 こういった田園都市構想は明治末期以来のものであるが、その最も成功した例がこの田園調布である。 なお、駅前広場は建築家 吉武長一の手になるもの。 ≫
(東京建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』1986.9.25.文春文庫)

   山口廣 監修・江口敏彦 著『東京の近代建築―建築構造入門』(1990.11.25. 理工学社)では、≪イギリスの田園都市をモデルにした日本の小さな街のシンボルは、マンサード屋根と洋風窓をもった西欧風の小さな駅舎≫と書かれているのですが、その駅舎は、東京建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)では、≪ドイツの民家風のしゃれた建物≫とされています。 イギリス風かドイツ風か・・・・、見た人がどう思ったか、てことでしょうか・・・。

   東京建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)には、
≪ かつては中・小サラリーマン向けの町だったのに、今や高級住宅地。 しかも新たに住むのはワケありの人ばかり。なぜかと言うと、初代住民達が町造りに励んだ結果、環境秀れて地価高騰、遺産相続も困難になったから。≫
とも出ています。

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↑ 駅と放射線状の街路だけでなく、この駅前広場もなかなかのものです。 で、吉武長一とは誰なんだ・・・? とインターネットで検索するが、ウィキペディアくらいあるだろうと思うと、ない。 《近代建築写真館 吉武長一》http://modern-building.jp/yoshitake_choichi.html に、≪吉武 長一(よしたけ ちょういち 生年月日・出身地など不詳) 米国ペンシルバニア・テクニカルカレッジで建築を学び、明治のたばこ王、村井吉兵衛のお抱え建築家として村井銀行本店を始め、京都市に現存する村井銀行の各支店を手掛けた。また、銀座教会(関東大震災で焼失)や安藤記念教会の設計も手がけた建築家です。≫と出ていました。
   ↓ は、放射線状に広がる街路と街路樹。
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(↑ クリックすると大きくなるので大きくして見てください。)

   田園調布駅の北側には↓
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↑  旧駅舎の北に、それに調和したような建物ができているのですが、何なのか。よく見ると、左の方、赤色灯が壁にくっついていますよね。 さらによく見ると、「田園調布警察署 田園調布駅前交番」なんて書いてあるのです。お~こわあ~あ・・・。 「君子、危うきに近寄らず」と昔から言いますから、「善良な市民」は近寄らん方がよろし。
※ 田園調布駅前交番 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/denenchofu/koban/03.html
   で、その右にも何か書いてあるのですが、右側(南側)には「野村証券 田園調布支店」と書かれています。
※ 野村証券 田園調布支店 http://www.nomura.co.jp/branch/branch/denenchohu.html
   株屋と国営暴力団とが同じテラスハウス(にこいち)に同居!!! ・・・・て、どういう風の吹き回しなのか・・・。 もしかして、金持ちが、株屋で株をい~っぱい買うのを貧乏人が襲うのではないかと考えて、それを守る為に横にゴロツキを配置して金持ちを守ろうとしてこの配置になった・・・??? ・・・いや、そのゴロツキこそ危ないのと違うんかい??? ・・・というより、きょうび、現金もって株屋に買いに行くてことはしないのじゃないか。 となると、↑のハイカラなデザインの建物に交番が入ることで、まさか、そんな建物に警察漢なんておらんだろ、と油断させて実はおる・・・てとこを狙ったものなのか・・・?

( ↑ 田園調布駅前交番。 ☆1つ、「今市」 )
   毎度のことながら、交番てのは、いかにも交番交番した建物であってこそ、「市民の緊急事態」に役立つのではないのかと思うのだが、↑のように、保護色をまとって普通の施設にまぎれこんだような建物というのは、「おまわりさん、助けてえ~え」と暴漢に襲われたとか、痴漢に襲われたとかいう時にかけこもうなんて考えても、緊急時に交番がどこだかわかんな~い!!! てことになると思うのだ。 だから、こういう周囲の施設にとけこむようなデザインの交番が増えているということは、警察漢としては、「市民の緊急事態」になんて対応する気は最初からさらさらない! ということだ。 交番というのは「あくまでも、警察が市民を監視するための出張所」であって、「警察が市民のために役だとうという出張所」ではない! ということだ。 この点を市民は決して誤解してはならない。

   ↑の田園調布駅前交番のさらに北側、かつては線路であった所(今は線路は地下にある所)にバスターミナルが移っています。 かつては、放射線状の道路の北西側の道沿いに路線バスが停まっていたのですが、この街としては、駅前のバス停留所は道路ではなく他に設けたいところだったでしょうから、その点では、かつて線路だった所が空いてバス停留所に利用できるようになったというのは、ちょうどよかったのではないでしょうか。

   今は、東急東横線と目黒線は田園調布駅では地下にもぐっています。↓
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なぜ、地下になったのか。 まず、東横線の田園調布の北側の「自由が丘」駅は、駅名は「丘」だけれども、実は、地形としては丘ではなく、むしろ、谷地なのです。 もともとは「九品仏」駅だったのが、今の大井町線が通って「九品仏」駅ができた時に、駅名を何にしようかとなって、自由が丘学園という学校があったことから、その学校の名前をとって「自由が丘」にした・・らしい。《ウィキペディア-自由が丘》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%94%B1%E3%81%8C%E4%B8%98 にも、≪(自由が丘)駅周辺は戦前に「衾沼(ふすまぬま)」と言う沼地を埋め立てて造成された土地であるため、丘と言う地名ながら、周辺と比較して低地となっている。≫と出ている。但し、この「田園調布の隣の自由が丘」は、戦前、「『自由』などとはけしからん」という風潮の時代にあっても、自由が丘の住民はそれに抵抗して、「自由が丘」という駅名と地名を守り抜いたそうな、そういう抵抗の歴史のある地名であって、最近、不動産屋が山地を造成して分譲してつけた、あっちやらこっちやらにある、なんか安っぽい「自由が丘」とは、「自由が丘は自由が丘でも自由が丘が違う!」という自由が丘らしい。で、その「由緒ある自由が丘」の駅のあたりから「もみじ饅頭とともに漫才で有名になった田園調布」の方向を見ると、自由が丘駅付近から環八付近まで上り坂になっているのだ。田園調布はもともとは「多摩川台」だったというだけあって、本来は谷地であって駅の近くの遊歩道の下には地下水路としてかつての川が流れているらしい自由が丘よりも高いのだ。この場合、「高い」というのは地価とか年収のことではなくて、地球の引力の方向に垂直の線を引いていくと、田園調布の地盤面は自由が丘の地盤面よりも上になるわけだ。 で、東横線の「自由が丘」駅は高架に駅があるが、そこからでも、地べたに駅があった田園調布までは電車も登っていたわけだが、それをまっすぐ進むくらいにすると、田園調布では駅のホームは地下になった・・・てとこみたい。
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  地下のプラットホームから上にあがると、↑。 ここに改札口があって、改札を出ると、↓のように、旧駅舎の南側の階段の下の広場に出る。
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   次回 、 田園調布の街と宝来公園 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_4.html

   (2018.6.1.) 

☆ 田園調布と田園調布の教会
1. 魅力のある街(東京圏)。田園調布はどこまでか。態度の悪い不動産屋にへつらうな。http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_1.html
2. 放射線状道路の扇の要の位置の田園調布駅はおしゃれ http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_2.html
3. 放射線状道路の扇の要の位置の広場。 独特のデザインの田園調布駅 〔今回〕
4. 居住環境を考えた田園調布の街並み。居心地のよい宝来公園 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_4.html
5  日本基督教団 田園調布教会(1) 高すぎる樹木、鎧をかぶったみたいな教会堂、倉庫みたいな建物 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_5.html
6.  同 (2) 跳ね返す素材、教会堂は重厚である必要があるか。「セコム、必要ですか」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_6.html
7.  同 (3) 牧師館がなぜ教会堂の脇にないのか。遮る扉の玄関扉 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_7.html
8.  同 (4) 「ああ、無情」 「太客」vs「どうでもいい来場者」vs「酔っ払い」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_8.html
9.  同 (5) バザーの際の違和感。 新教会堂ファサードは・・・みたい http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_9.html
10. 同 (6) パイプオルガン・ハンドベルと偶像崇拝・惑溺 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_10.html
11.台(うてな)人体実験と精神医学ファシズム 吉益脩夫 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_11.html
12.今は見当たらない「矢野一郎邸」と「旧人見純一画室」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_12.html
13.カトリック田園調布教会と聖フランシスコ修道院 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_13.html
14.日本福音ルーテル田園調布教会、事故物件田園調布警察署 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_14.html 


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