今は見当たらない「矢野一郎邸」と「旧人見純一画室」-田園調布と教会【12/14】

[第376回] 日本の教会シリーズ
    教会というものは、教会堂の外だけ見るのではなく中にも入ってみるべきで、中に入るだけではなく、礼拝その他の教会の行事に参加してみてこそ、その教会堂について検討・吟味もできる・・・という面もあるとは思います・・・・が、逆に外だけ見て周辺を散策するからこそ、周辺について気づく場合もあります。
    今回は、田園調布訪問として、日本基督教団 田園調布教会だけではなく、田園調布駅を再度、検討してみたいと思うとともに、カトリック田園調布教会も、どんな場所でどんな建物が建っているのか見てみたいと思い、そして、建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)に掲載されていた田園調布の建築、人見純一画室と 矢野一郎邸も、道路からでも見せてもらえたらと思って訪問しました。 人見純一画室は田園調布駅の東側、矢野一郎邸は田園調布駅の西側として掲載されているのですが、人見純一画室の方は、何年か前、この近くに来た時、どんな建物があるのか見てみたいと思って近くまで行ってみたのですが、見つけることはできませんでしたので、すでに解体されてしまったか、もしくは、どこかに移築されたかか、あるいは私が場所を間違えたかかと思いましたが、けっこう、夕方で暗くなりかけていた時間だったのであきらめて帰ったということがありました。 その後、東京都小金井市の江戸東京たてもの園に、前川國男自邸を見学に行った際、その隣に、「田園調布の家」というのが前川國男自邸の隣にあったので、もしかして、江戸東京たてもの園に移築されたのだろうか・・・・と思って見せていただきましたが、江戸東京たてもの園の前川國男自邸の隣に移築された「田園調布の家」は、「大川邸」でした。
※ 江戸東京たてもの園http://www.tatemonoen.jp/
江戸東京たてもの園 西ゾーン 田園調布の家(大川邸)http://www.tatemonoen.jp/restore/intro/west.php
( 江戸東京たてもの園 は、さまざまな建築を見学できて、何度でも行きたい内容・・・ではあるのですが、JR中央線「武蔵小金井」か「東小金井」、西武新宿線「花小金井」からバスに乗って行くことになり、あまり、便利のいい場所ではないので、千葉方面に在住の者としては行きやすくありません。 )

    さて、矢野一郎さんという人はどういう人かというと、田園調布駅前に「田園調布の由来」と書かれた碑が建っていますが、その碑の文章の人が「社団法人 田園調布会 会長 矢野一郎」さん。
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建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)の文章を引用しますと、
≪ 田園調布の生みの親は渋沢栄一だが、育ての親と言っていいのが矢野恒太(第一生命の創業者)で、矢野は一族もろともここに移り住んでいる。 その矢野(恒太)の長男・(矢野)一郎の家は、低い生け垣といい、落ちついた洋館の姿といい、田園調布に建つべき住宅の理想をよく体現している。 なお、(矢野)一郎は父の跡をついで田園調布の充実に尽くした。≫
という。
   大正15年(1926年)、「ひどく不合理(1925)、治安維持法制定」の1925年の翌年に竣工。 設計者は松本与作 というのですが、誰、それ? ・・・・
   インターネットに「松本与作」と入れて「検索」をクリックしてみると、けっこういろいろと出てきました。
《ウィキペディアー第一生命館》https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%94%9F%E5%91%BD%E9%A4%A8 には、
≪ 第一生命館(だいいちせいめいかん)とは、かつて東京都千代田区有楽町にあった建築物である。・・・・
日比谷濠に面して1938年(昭和13年)に竣工したのちは、第一生命保険本社としてのほか郵便局、貸ホール、女学校校舎、剣道場、警視庁仮庁舎、連合国軍最高司令官総司令部本部などとしても利用されていた。・・・・
会社は1932年(昭和7年)5月社内に「本館建築部」を設け、同社からは今村繁三取締役を部長に、外部からは葛西萬司、横河民輔、佐藤功一、櫻井小太郎、中條精一郎の5名に建築顧問を依嘱[2]した。その設計図案は一般から募ることとし、1932年(昭和7年)10月31日を期限に設計図案が懸賞募集され、審査員は5名の建築顧問ならびに矢野社長などにして、審議が行われた結果、268案の内10案が優秀賞に選出され、この10案の作者には賞金が送られた。
この10案を参考に、1933年(昭和8年)より京橋の第一相互館において、建築家の渡辺仁、第一生命の技師・営繕課長であった松本与作の2者で実施設計に着手された。 ・・・・≫
と出ています。 矢野恒太が創業したという第一生命の「技士・営繕課長」だった人のようです。

   建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)では、大田区田園調布3-39-3 と出ており、その住所ですと、↓の場所、日本基督教団 田園調布教会からですと、教会の北側の道を東に行き、田園調布教会の西側より一筋東の道を南(多摩川園駅の方向)に進み、次の区画のあたりになるはずなのですが・・・、

・・・どうも、行って見ても、『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』に写真も掲載されている矢野邸の建物初めて見つかりません。
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↑ 住所から考えると、ここだと思うのですけれども、そこには「蒼悟ハイツ」という名称で10棟の戸建住宅が建っており、↓
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↑ 「蒼悟ハイツ」は、1号館から10号館まであって、住居表示としては田園調布3丁目3番 で、そのうち、10号館が3丁目3番3号 になっているようです。 かつては、この1号館から10号館までが建っている場所の全域が矢野邸だったのを、解体して、戸建住宅を10棟建てた、というものなのでしょうか?  そこに住んでいる方は所有されているのか賃貸住宅なのかはわかりませんが、一般に「戸建ての借家」のことを「家作(かさく)」と言いますが、「家作(かさく)」なんて感じの建物ではない。 10分の1のものであっても、それこど、我が家なんかよりはるかに立派な家です。 
  5号館・6号館が39-2 で、10号館が39-3 で、それ以外は大きな数字が号数についていますから、かつては大きな敷地であったものを分けてそれぞれに戸建住宅を建てた、という可能可能性が高いのではないでしょうか。分けたもので見てもせ世間一般から考えると小さくありませんし、もちろん、我が家よりよっぽど大きい家です。


    、建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)に掲載されているもうひとつの建築 「旧人見純一画室」は田園調布は田園調布でも、駅の西側の道路が放射線状になった地域ではなく、駅の東側です・・・・が、ここも訪ねてみても、見当たりません。 『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』に掲載されている住所は、大田区田園調布2-58-8 で、駅の東側は田園調布2丁目 らしいのですが、この住所をヤフー地図とかグーグル地図とかで検索すると、↓

↑ この場所になります。『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』に掲載されている地図でも↑の場所だと示されています。 大田区田園調布2丁目と世田谷区玉川田園調布 との境目付近の大田区です。グーグル地図で「東京都お世話になっております。「大田区田園調布2-58-8」と入れて「検索」すると↑が出てくるのですが、ヤフー地図では、大田区田園調布2丁目58 は、5号しか見当たりません。2-58-5 は、↑と同じ場所です。
   さて、その住居表示の場所はどうなっているかというと、↓
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↑ 『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』に掲載されている写真の建物とはまったく違います。 ↑の建物は「地域包括支援センター さわやかサポート田園調布」という施設です。
「地域包括支援センター さわやかサポート田園調布」のホームページhttps://ansinkaigo.jp/gyosei/pref_13/city_13111/gyosei_3703 を見ると、介護についての相談などを受け付ける所のようです。
  では、「旧人見純一画室」はどうなったのでしょう?

   人見純一とはどういう人だったのか・・・・、ウィキペディアには掲載はないようですが、インターネット上では人見純一について掲載したものはいくつか見つかりました。
岡山県立美術館所蔵作品検索システム http://jmapps.ne.jp/okayamakenbi/sakka_det.html?list_count=10&person_id=240
  1894年(明治27年)生まれ。 「一躍、清(1894)を攻撃する」日清戦争の年の生れ。洋画家のようです。
  建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(1986.9.25.文春文庫)には、
≪ なんで攻撃外構街の郊外の住宅地のまん中に、こんなギリシァ神殿みたいな変わった建物が建っているのか、初めて見た人は誰だって不思議に思うだろう。 しかし、洋画家の画室だったと聞くと納得できる。 二階分をぶち抜いた高い天井、上方からのみ光を入れる高窓、すべては画室の造りである。 しかし、建物のスタイルをなにもギリシァ神殿風にしなくてもいいわけだが・・・・。 ≫
と書かれている。 設計者は、伊藤忠太。 こちらは有名人。築地本願寺(浄土真宗本願寺派築地別院)とか東大の本郷の「正門」(「赤門」じゃない方)の設計者ですね。 竣工は、昭和2年(1927)年。「ひどく不合理(1935)、治安維持法」の治安維持法制定の1925年の2年後、「人、苦、災(1931)」盧溝橋事件、満州事変の1931年の4年前の竣工・・・・ですが、書かれている住所地に行って見まわしても見あたらない。

   小金井市の江戸東京たてもの園にもありませんから、江戸東京たてもの園には移築されていない。 明治村のもなかったと思います。 「さわやかサポート田園調布」で尋ねてみました。 「旧人見純一画室」を解体してその跡地に「さわやかサポート田園調布」ができたのでしょうか・・・と。 子供の頃からこの付近に住んでるというおじさんが教えてくれましたが、そうではないそうです。 「さわやかサポート田園調布」が建っている場所は、前は東急バスのガイドさんの寮が建っていたそうで、その跡に建てられたそうです。 では、「旧人見純一画室」はなかったのかというと、あったそうですが、「さわやかサポート田園調布」が建っている田園調布2-58 の場所ではなく、この近所ではあるけれども、別の場所にあったらしい。 そして、それはどうなったかというと、ずいぶんと前に解体されてなくなった、そうです。 そのおじさんの子供の頃に、もう、解体されてなくなったという話ですから、建築探偵団+増田彰久『スーパーガイド 建築探偵術入門―東京、横浜の西洋館230を追跡する』(文春文庫)は1986年発行ですが、この本が発行された時点で、すでになかった可能性もあります。 この本の作者、「建築探偵団」の「団員」は、宍戸実(まこと)・河東義之・藤森照信・堀勇良(たけよし)・清水慶一・増田彰久の6人ですが、たとえ、手分けしてでも、230もの場所を1年くらいの間に見てまわることはできないでしょうから、過去に訪問・見学したことがある建築をまとめたけれども、その時点でも存在するかどうかの確認は十分にできなかった、ということなのかもしれません。

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   田園調布駅の東側には、地上に線路がなくなったことから、↑のような商業施設ができました。 駅の東側も悪いわけではありませんが、東側とは雰囲気は違います。

   次回、13.カトリック田園調布教会と聖フランシスコ修道院 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_13.html

   (2018.6.1.)


☆ 田園調布と田園調布の教会
1. 魅力のある街(東京圏)。田園調布はどこまでか。態度の悪い不動産屋にへつらうな。http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_1.html
2. 放射線状道路の扇の要の位置の田園調布駅はおしゃれ http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_2.html
3. 放射線状道路の扇の要の位置の広場。 独特のデザインの田園調布駅 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_3.html
4. 居住環境を考えた田園調布の街並み。居心地のよい宝来公園 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_4.html
5  日本基督教団 田園調布教会(1) 高すぎる樹木、鎧をかぶったみたいな教会堂、倉庫みたいな建物 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_5.html
6.  同 (2) 跳ね返す素材、教会堂は重厚である必要があるか。「セコム、必要ですか」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_6.html
7.  同 (3) 牧師館がなぜ教会堂の脇にないのか。遮る扉の玄関扉 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_7.html
8.  同 (4) 「ああ、無情」 「太客」vs「どうでもいい来場者」vs「酔っ払い」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_8.html
9.  同 (5) バザーの際の違和感。 新教会堂ファサードは・・・みたい http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_9.html
10. 同 (6) パイプオルガン・ハンドベルと偶像崇拝・惑溺 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_10.html
11.台(うてな)人体実験と精神医学ファシズム 吉益脩夫 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_11.html
12.今は見当たらない「矢野一郎邸」と「旧人見純一画室」 〔今回〕
13.カトリック田園調布教会と聖フランシスコ修道院 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_13.html
14.日本福音ルーテル田園調布教会、事故物件田園調布警察署 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201806/article_14.html 


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