東京都美術館と「ブリューゲル展」【5/7】正確に描くP=ブリューゲル1世とありえない木造「はなの舞」

[第351回] 東京圏の美術館(13)-5
   今回の企画展は「ブリューゲル展~画家一族150年の系譜」です。毎度、東京都美術館の企画展は人気があるのか、相当混んでいて、一巡するだけで疲れるのですが、今回はけっこう混んでいるのではないかと思って行ったのですが、それほどでもありませんでした。 私にとっては「ブリューゲル」というのは、「西洋美術史」において相当大きなウエートを占める画家なのですが、人によってはそれほどでもないのかもしれません。 マネとかモネとかルノワールとか、セザンヌとかゴッホとかの方がビッグネームなのでしょうか。私なんかは「ピカソ」なんて言われても、上手いのか無茶苦茶描いてるだけなのか、なんか、いまだによく分からないのですが、「ピカソ」と言われると、「ピ~カ~ソ~お!!!」て感じで名前で感動する人もいるのかもしれない。「建築家」業界では「世界の丹下」とか言われると、それだけで、「はあはあ~あ」と水戸黄門の印籠見せられた悪代官みたいな態度をとる人がいるみたいに?
   もうひとつ、考えられることとして、この「ブリューゲル展~画家一族150年の系譜」は、
東京都美術館・・・2018年1月23日(火)~4月1日(日)
豊田市美術館(愛知県豊田市)・・・4月24日(火)~7月16日(月・祝)
札幌芸術の森美術館・・・(北海道札幌市南区)・・・7月28日(土)~9月24日(月・休) 
広島県立美術館・・・10月8日(月・祝)~12月16日(日)予定
郡山市立美術館(福島県郡山市)・・・2019年1月11日(金)~3月31日(日)予定
というもので、東京都美術館での開催は2カ月と10日ほどですが、2月頭においては、まだ始まって10日ほど。もしかすると、こういう企画展というのは、終了間際になると、それまで、見に行くかどうか迷っていた人が「行かなきゃ」という気持ちに行くために、終了間際になると混んでくる・・・なんてことないか、といったことを思いました。もし、そうなら、こういった企画展は迷ってないで開催して早いうちに見に行った方がいい、ということになります。又、早めに見に行けば、「もう一度見たい」と思った時に、2回目の見学に足を運ぶなんて可能性も出てきます。

   「ブリューゲル展~画家一族150年の系譜」は7つのコーナーに分けて展示されています。
[地下1階]
1.宗教と道徳
2.自然へのまなざし
[1階]
3.冬の風景と城塞
4.旅の風景と物語
5.寓意と神話
[2階]
6.静物画の隆盛
7.農民たちの踊り
●ミュージアムショップ
となっています。 「画家一族150年の系譜」という副題ですが、ブリューゲル一族の絵だけが展示されているというわけでもなく、ブリューゲル一族に影響を与えた人・影響を受けた人・同時代の人の絵も展示されています。
   「ブリューゲル一族」の絵でも、同じ工房で絵を描き、影響を受け・影響を与えてきた一族だけあって、「芸風」はけっこう似ているので、絵を見てすぐにブリューゲル一族の誰の絵と判別するのはなかなか難しい・・・・が、好んで描いた題材が違うので、そこから誰の絵か推測することがある程度できるみたいです。
   私が中学生の時に「西洋美術史」のテキストで見たピーテル=ブリューゲル1世の絵は農民の集まりの絵でしたが、ピーテル=ブリューゲル2世もまた同様の題材で描いていたようですが、『美術展2018 ぴあ 2018年絶対に観たい!美術展166』(2018年1月30日 ぴあMOOK)には、ピーテル=ブリューゲル2世のことを≪ “地獄のブリューゲル”という通称で知られている≫と出ていますが、「鳥罠」という絵では、≪凍った川の上でスケートやコマ回しに興じる人々と、鳥罠のある風景を描いた作品。氷が割れれば川に落ちる人間は、しょせんは鳥罠の下の鳥と同じという教訓を秘める。オリジナルをピーテル1世が描いた人気作で、本作を含め、世界で100点以上の模倣作品が存在する。≫と書かれていますが、風景がでありながらそういった教訓を含んだ絵を描いたらしい。
   「ブリューゲル」というと、「農民の姿を描いた画家」というイメージがあったのですが、ミュージアムショップで販売されていた「プログラム」でも、表紙の絵を「農民の姿」の絵のものと「花」の絵のものの2種類が用意されていたように、「花」をしばしば描いた「ブリューゲル」もいたようです。 ≪ヤン1世はピーテル1世の次男。兄同様父の作品の模倣もしたが、やわらかなタッチの静物画や動物画などを得意とし“ビロードのブリューゲル” “花のブリューゲル”と呼ばれた。・・・・・ヤン1世の没後に工房を継いだ息子のヤン2世も、父親同様、花の静物画や動物が、風景画を残した。≫とあり、さらに、アブラハム=ブリューゲルは≪ヤン2世の次男で、主にイタリアで活躍。才能豊かで、1671年には、ローマのパンテオン名流家会員にも選出された。祖父や父から受け継いだ描写力と、イタリアで最盛期を迎えていたバロック絵画の画面構成を融合させた作風が知られ、戸外に置いた花や果物の静物画などで人気を博した。≫(『美術展2018 ぴあ 2018年絶対に観たい!美術展166』(2018年1月30日 ぴあMOOK)
   2階の「6.静物画の隆盛」のコーナーに、ヤン=ファン=ケッセル1世による昆虫の絵があったが、なんと、大理石の表面に描かれたものだった。 昆虫の標本みたいな絵なのだが、こういったものはヤン=ファン=ケッセル1世によるものらしい。
   ピーテル=ブリューゲル1世というと、「農民の姿を描いた画家」というイメージで宗教画の印象はなかったのですが、今回の展示でも、「キリストの復活」の絵があり、昨年は「バベルの塔」の絵が公開されたように、宗教画も描いているようです。もっとも、今回の展示の「キリストの冥府への降下」の絵とか「最後の審判」の「下絵」などは、どうも、グロテスクな感じがして私はあんまりいいと思えなかった。

   昨年、ピーテル=ブリューゲル1世の「バベルの塔」の絵が東京都美術館で公開されたが、今回の「ブリューゲル展~画家一族150年の系譜」でも、「バベルの塔」の絵が展示されている・・・・・が、ピーテル=ブリューゲル1世が残した「バベルの塔」の絵の昨年、公開されたものとは別の方の絵なのかというとそうではなく、今回、展示されている「バベルの塔」の絵は、マールテン=ファン=ファンルケンボルフヘンドリク=ファン=クレーフェによるものらしい。 ピーテル=ブリューゲル1世の「バベルの塔」に比べると知名度は低いらしいのだが、こちらもなかなかのものではないかと思った。ピーテル=ブリューゲル1世の「バベルの塔」とは芸風は異なるが、塔のありようと絵の中での配置などは共通しているものがあり、ピーテル=ブリューゲル1世の「バベルの塔」の影響を受けて描かれたらしい。
   ピーテル=ブリューゲル1世は、の絵が好きだったらしい。 かつ、船は、絵の通り組み立てればそのまま船として使えるような絵を描いていたそうだ。 昨年、サントリー美術館にエミール=ガレの展示会を見に行った際、ガレは生物学者であり、昆虫などを描いたけれども、一方で「動物をそのまま写した絵ではそれは芸術ではない」としつつも、同時に「実際の動物ではありえないような絵は描くべきではない」として、きっちりとその動物の特徴を尊重して実際に存在しないような動物の絵は描かなかったというのだが、ピーテル=ブリューゲル1世もまた、城や船が好きだっただけでなく、特に船については、絵だから構造はいいかげんでいいという姿勢ではなく、実際の船をよく見て、その絵の通りに作ったとするとそのまま走らせることができるような絵、実際の船の造りを尊重した絵を描いた、というものらしい。 2005年、「はなの舞」「花の舞」「炎」「チムニー」「知夢仁(ちむにい)」などの居酒屋をチェーン展開するチムニー(株)https://www.chimney.co.jp/ の建設部にいた時、内装工事が終わった新店舗を見たところ、もともと、梁として使用されていた松丸太の古材を縦にして壁面においていたものがあった。私は、それを「デザイナー」で「1000万円超プレーヤー」というおっさんに、「あれは変ですね。木造の構造として、松丸太をあのような感じで柱のように使ったりはしませんね」と言ったところ、その「デザイナー」で「1000万円超プレーヤー」というおっさんが、「その曲がっているところがいいんですよお~お」などと言ったので、「はあ?」と思ったことがあった。 「野物」とも言われる松丸太の曲がった梁は、上を凸にして梁として入れると、上から屋根の荷重がかかった時に、元に戻ろうとする力が働き、まっすぐな梁よりも強いと言われてきた。 最近では機械プレカットをおこなうことが多くなってきて、機会プレカットでは曲がった松丸太の加工をしにくいということもあって、松丸太を梁に使用することが少なくなってきたけれども、使う大工はいる。 たとえ、柱などは桧を使っても、最上階の梁は松丸太を使った方がいいという考え方をする大工もいる。 しかし、柱は上からの鉛直荷重を受ける部材であり、鉛直荷重を受ける部材はまっすぐなものであってこそ威力を発揮するものであり、古来、桧や杉が柱に向いているとされるのは、まっすぐに伸びる木なので柱材として使いやすいからということがあったらしい。特に「杉」は「まっすぐ」の「すぐ」から「すぎ」という名称になったという説もあるらしいくらいであり、柱は床柱のように単なる飾りであって荷重はまったく受けないような「柱」は別として、まっすぐな木材であるべきで、曲がった木を柱として使用したならば、上からの荷重を受けた際に、曲がったところで折れてしまうことになる。 「はなの舞」「花の舞」「炎」などの店は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物の1区画を借りて、その部分に「古民家風」「高山風」の内装しつらえを古材を使ったり骨董屋から購入してきた火鉢だとかを置いたり障子をとりつけたりなどしていたのだが、その「デザイナー」「1000万円超プレーヤー」は実際には木造の構造としてありえない、木造の構造についていくらかなりとも学んだ人間か、もしくは、今も「古民家」「農家」の建物に住んでいるような人が見たならば、「なんだべ、これえ?」と思うようなへんてこりんなありえない内装を私が指摘したにもかかわらず、「そ~れがいいんですよ、それがあ」などとアホなことを言っていたのだった・・・・が、それは、エミール=ガレやピーテル=ブリューゲル1世の考え方には逆行するものだ。 エミール=ガレやピーテル=ブリューゲル1世なら、木造の構造としてありえないようなものをそこではあくまで内装の飾りだからということで施工したりはしないだろう。「そ~れがいいんですよ、それが」などとアホなことは言わないはずである。 「高山風」だというチムニー(株)の「はなの舞」「花の舞」「炎」の店では、格子を横に入れていた店があり、横の格子には埃がたまりやすく、飲食店として不衛生という印象を受けたが、「デザイナー」は「高山風」のつもりで設計していたらしいが、高山に行って「伝統的建造物群保存地区」などの「民家」を見てみると、横桟の格子の家などどこにもない。縦桟の格子が入っている家はあるが、宮地家住宅で係員の方から聞いた話では、高山の「さんまち」と言われるあたりや大新町などの町家は、本来、商工業者の住む地域で、道路に面した部屋に格子なんか入れないもので、なぜなら、道路に面した部屋は道路を通行する人を相手に商売する部屋であるから格子なんか入れたのでは商売の妨げになるといい、夜間はどうするのかというと、遣戸の雨戸を降ろすのだそうで、実際、宮地家住宅には遣戸の雨戸がついていた。但し、今現在では縦桟の格子が道路に面した部屋に入っている家はあるが、それは、かつてはそこで商売をしていた家でも今は専用住宅として使用していて他にサラリーマンとして働きに行っている人もあるので、そういう家で道路に面した部屋に縦の格子を入れているということらしい。 チムニー(株)の「デザイナー」「1000万円超プレーヤー」はそのあたりを理解せず、「高山風」でもないものを「高山風」だと勝手に思いこんで「はなの舞」「花の舞」「炎」などの店に設営していたようだ。又、格子は縦桟ではなく横桟にすると埃がたまりやすく、掃除に手間がかかるので、人員を余裕をもって各店舗に配置できていない居酒屋としては横桟としてしまうと掃除がいきとどかず、不潔・不衛生な印象を来客に与えることになる・・・といった、そのくらい、わかれよなあ、しろうとでもわかるぞ、そのくらい~ということが理解できていないのだった。 私をもっと大事にしてくれれば、徐々にそのあたりを噛んで含めるように教えてあげたのだが、アホの経営者の会社はどうしようもない。 「居酒屋は勝ち組になるか負け組になるかどちらかであって、中間はない」と社長の和泉さんは言っていたのだけれども、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と競合相手のレベルが低いと、「エラーばっかりやってるチームが勝つ」だってあるだろうけれども、そのうち、エラーしないチームが出現した時には、自分たちは「勝ち組」だとか思いあがっていたならば、その認識のゆえに「負け組」に陥ることだってあるだろう。私はそう思うが、関大しかでてないような社長にはわからんのかもしれない。

   企画展の場合、美術館の建物の撮影は認めてもらえても、展示品の撮影は禁止という場合が多いのだが、「ブリューゲル展」では、2階の 「6.静物画の隆盛」「7.農民たちの踊り」の展示については、≪1月23日(火)~2月18日(日)≫の期間に限り、撮影可(ブラッシュ等の使用は不可)と掲示が出ていた。
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( ↑ 2階展示室。 「6.静物画の隆盛」のコーナー。)
   もっとも、写真撮影可と言ってもらっても、実際には、最後のミュージアムショップで「プログラム」が販売されており、出展されたものの何枚かは絵ハガキとしても販売されており、そういったものを買えばいいことであり、あえて撮影しないといけない必要性は必ずしもない。 むしろ、写真撮影することで、それを持ち帰ったような気持になってしまうおそれもある。 美術展に行ったなら、大事なのは撮影することよりも、おのれの眼と心で見ることであろう・・・・・と思ったのだが、せっかく、撮影していいと書いてあったので、1枚だけ、花の絵を撮影させてもらった・・・・が、見たい人は「ブリューゲル展」に足を運んで見るべきだと思うので、それをここで公開するのは控ておきたいと思う。 ぜひ、見に行って実物を見ていただきたい。
   「ブリューゲル一族の絵」というと、「農民の姿を描いた絵」と思いこんでいたのだが、そういうものもあるが、花の絵がけっこう多い。 しかも、実際の花を尊重しながらも、実際の花よりも美しく描かれたのではないかと思えるようなものもある。 又、実際の花は、その花が咲く季節というものがあって、花が咲く季節が異なるものを同時に観るということは難しいのだが、絵画の場合はそれを実現することができるようなのだ。 。『美術展2018 ぴあ 2018年絶対に観たい!美術展166』(2018年1月30日 ぴあMOOK)によると、横浜市西区みなとみらい の 横浜美術館で3月24日(土)より「ヌード―英国テートコレクションより」が開催されるらしい。「ヌード」などという展示会は、なんか、見に行くとエロオヤジみたいで見に行きにくいのだけれども、裸体画と写真だと写真の方が実物に近いのだから、それだけ、魅惑的なものになるのではないかという感じがして、実は、絵画で写真よりも魅惑的なものがあったりするのだ。 写真より魅惑的な裸体画、というのは、その作者の感じ取ったものが絵となるからなのか、どういう理由によるのかよくわからないが、写真と絵画なら写真の方がより魅惑的とは限らないのだ。 花の絵というのも、それと同様のものがあるのではないかと思う。
   その時の体調なり生き様なりに影響を受けるのか、かつて、中学生の時、「西洋美術史」のテキストで見たものでは、ピーテル=ブリューゲル1世の「農民の姿」の絵がいい絵だという印象を受けたのだが、今回、見学した限りでは、むしろ、花の絵や風景画の方が、「農民の姿」の絵よりも私は魅力を感じた。

   「フラッシュ使用は不可という条件で、写真撮影可」とされている美術展を見に行くと、悪気ではないのだけれども、うっかりとフラッシュを作動させて撮影してしまった・・・・ということで係員から注意を受けている人を見ることが時々あります。 デジカメでフラッシュが作動しないように設定するのはそれほど難しいことではありません。私はカメラについて専門でも何でもありませんが、このブログでも、[第308回]《国立西洋美術館 常設展とル・コルビュジェの芸術空間展【3/6】「モネの睡蓮」はなぜ迫力があるのだろう》http://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_3.html で、おせっかい(法律用語で言うと「事務管理」?)で、述べておきました。よければ参考にしてください。絵画など「フラッシュ使用不可」という条件で撮影してもいいというのは、美術館の照明が暗めになっていたり、自然光ではなく人工照明になっていたりするのは、明るすぎる照明をあてることで絵画などを傷めないようにということと、周囲の他の見学者が見学するのを妨げないようにということの2つの理由があるようです。 「フラッシュ撮影不可」の所では、わざとではなくても、フラッシュが作動しないように気をつけましょう。

   通信課程の大学の建築学科として、愛知産業大学と京都造形芸術大学、それに大阪芸大があるのだが、愛知産業大学と京都造形芸術大学は通学過程と通信課程の両方に同等に力を入れているようで、たとえば、慶應大学なんてのは、通信課程に経済学部・法学部・文学部があるものの、ある助教授から教えてもらった話では、「通信課程の人には、スクーリングの際にも質問は一切受けつけず、講義が終わると同時に荷物をまとめて、さあ~っと帰るようにしている」などとおっしゃった教授先生がおられたとかいうことで、その先生などは、通学過程の生徒は自分たちの子分だが、通信課程の生徒はよそ者というような意識でおられたのではないか。そういう教授というのは、通学過程でも私みたいに「公立小学校→公立中学校→公立高校」と行って「→国立大学」と行く予定だったのが何の因果か慶應大なんてのに来てしまった・・・なんて人間は、そういうやつもまた「よそ者」と認識していて、できるだけ相手にしたくない、という人間と考えているのではないかと思う。そういう「内と外」という思考が強くて、通信課程の人間は「よそ者」「外の人間」という意識の教授の大学なのだが、愛知産業大学と京都造形芸術大学の2つは、通学過程と通信課程は2本の柱みたいなもので、どちらが主でも従でもないという姿勢のようだ。 私は愛知産業大学の通信課程に3年次編入学させてもらったものの、けっこう努力したつもりだったが、仕事をもちながらの通信課程の学習というのはけっこう大変で、在籍最大年限の6年に達して中途退学することになってしまった・・・・が、その編入学の際、京都造形芸術大学と大阪芸大の資料もとりよせ、京都造形芸術大学の説明会にも行ったのだが、その際に聞いた話だが、京都造形芸術大学ではヌードのデッサンをおこなうらしい。愛知産業大学の建築学科は造形学部建築学科で、日本の大学の建築学科には理工学部系の建築学科と芸術学部・美術学部系の建築学科があり、理工学部系の建築学科はコンクリートの強度はどうでとかいった理工学分野に重心があるのに対し、芸術学部・美術学部系の建築学科は建築の意匠・デザインの方に重心がある(あくまで、「どちらかといえば」だが)らしく、愛知産業大の建築学科は芸術学部・美術学部系の建築学科になる。 京都造形芸術大学はどうかというと、理工学部系か美術学部系かといえば美術学部系なのだが、卒業すると2級建築士の受験資格を得られる学部ではあるものの、愛知産業大の建築学科が建築学科であるのに対して、デザイン学科だったかいう名称で、それだけに、京都造形芸術大学の方は「描く」ことに比重があったようだ。そこで、「ヌード」のデッサンもあったようなのだが、冗談でならともかく、実際に女性に裸になってもらって、さあ、描いてちょうだいと言われると、男性としては、なんとも、緊張して困ってしまうのではないかとか思った・・・が、京都造形芸術大学ではなく愛知産業大学の方を選んだので、その体験をすることはなかった。 その際に思ったのだが、たとえ、デッサンにしろスケッチにしろ、絵を描くならば、(女性が描く場合は、女性が女性のヌードを描いてもしかたがないかもしれないが、)男性が描く場合には、椅子だの机だのストーブだのトースターだの描いてるよりも、女性のヌードでも描いた方がよっぽど魅力を感じながら描けるのではないか、やっぱり、絵を描くなら魅力を感じるものを描いた方がいいのではないか、といったことを思ったのだ。 小学校の4年の時、担任の先生が、スケッチブックを購入して、毎日1枚、何でもいいから身近なものをスケッチして来い、それを見せろと言われ、「小学生の頃はエリート」だった私は律儀に毎日毎日描き続けたのだった・・・・が、今、思うと、机だの椅子だのストーブだのトースターだのといった、「しょーもないもの」をよく描き続けたものだと思う。 小学生が女性のヌードを描くわけにもいかないとしても、もうちょっと何か魅力的なものを探して描けば良かったのではないかと今になって思う。 そうやって、一生懸命、スケッチの練習をしたけれども、高校の合格発表の時、高校では芸術科目は「音楽」「美術」「書道」の3つから1つを選択と言われ、合格発表の日のうちに決めないといけないとされて、「書道」はそれほどやりたいと思わなかったのだが、「音楽」と「美術」はいずれも捨てがたく、どうしたものかと考えたところ、父が「あんたは音楽や」と私を無視して決めてしまったということがあった。嫌だった。小学生の時から絵の先生の所に通って努力し、小学校の「図画工作」の時間に優秀作品に何度も選んでもらい、大阪府の大会に出したいから絵をもらいたいと先生から言ってもらって提出したことも複数回あったのだが、父は「あんたは音楽や」と私の意思を無視して決めてしまったのだ。 そして、「大学」に行くと、「大学は勉強する所とは違うんじゃ。甘ったれておってはならぬぞ、チャンコロ」と言い、「アルバイトを嫌がる人間はモラトリアム人間病という病気にかかっておる。慶應大学の小此木啓吾先生がおっしゃってる」と言って、私に無断でアルバイトの口を決めてきた。「てってこっこ、テッテテッテ、らったらった、ラッタラア~ア♪」とか言っていた。 大学に行けば、在学中に、ある程度、本格的な絵の1枚でも描いてみたいなどと思ったこともあったが、「てってこっこ、テッテテッテ、らったらった、ラッタラア~ア♪」の家庭に生まれてしまった以上、それは「ない夢」だった。 「あんた、音楽得意やし、歌、うまい」などと父は言い、そして、「会社に勤めたら、あんた、黒田節、歌え。おまえは音楽得意やし歌うまいから、ええぞお。黒田節!」などと言って私を侮辱した。 発声練習してコールユーブンゲンやって、声楽は身体を楽器として作って声を出すものであるので、そのために腹筋運動をするなどもしてきて、その結果、「黒田節うたえ、おまえ、チャンコロ。さ~あけえわあのおめえのおめ・・・て。黒田節うたえよ、黒田節。甘ったれとってはならぬぞ、チャンコロ。甘ったれとってはならぬぞ、チャンコロ」と言われる結果になった。 しまった。あんなものやるんじゃなかった。 小学校の4年の時、担任の先生が、毎日、1枚ずつ、スケッチしてきて見せろと言った時も、言われて真面目に描いて見せに行った者もおれば、そうでない者もいたが、やるんじゃなかった。発声練習もコールユーブンゲンも腹筋運動も、しょせんは「宴席でブタ人間に喜ばれるための黒田節」に使われてしまうためのものになってしまった。 自分で舌でも切り取って歌えなくしてしまえばよかったのかもしれないが、自分で自分の舌を切るというのはけっこう難しいようだし、そこまではできなかったが、「おまえ、黒田節うたえ」と言われたその時から、私にとっての音楽はドブに捨てられたようなものだった。
   小学校の低学年の時、『フランダースの犬』という小説を読まされた。 絵に魅力を感じた貧乏な少年が、画家を目指し、画家として大成したいと思う話だが、そういうものを読ませる以上は、同じように画家なり何なりになりたいと努力すれば、そういう本を読ませた親は喜んでくれると思いこんでいたが、そうではなかった。「うちは・・・・にならすような金持とは違います。甘ったれなさんな」ということで、結局は「会社のために死んでも働く」「会社のために死ぬほど働く」「会社のために死ぬまで働く。とってちってたあ~あ」しか、我が家には道はなかった・・・・ということなら、何もあそこまで小学生の時から同級生が遊んでいる時も勉強して努力する必要はなかった、ということであるが、そうはいかないのが我が家だった。 発生練習してコールユーブンゲンして腹筋運動して、さあ、「宴席で黒田節うたえ、おまえ」というのが我が家だった。 宴席で黒田節をうたわせたがるようなブタ人間に聴かせる歌はないし、そんなブタに見せる絵もない・・・・が、「黒田節、うたえ、チャンコロ。甘ったれ採ってはならぬぞ、チャンコロ。甘ったれとってはならぬぞ、チャンコロ」と父は言い続けたのだった。 ブリューゲルの息子とかに生まれた人というのは、つくづくうらやましい・・・・が、我が家は「とってちってたあ~あ!」の家庭であり、ブリューゲル一族ではなかった。 「てってこっこてってて」「撃ちてしやまん、一億火の玉!」「欲しがりません、勝つまでは! 戸締り用心、火の用心、マッチ一本火事のもとお! とってちってたあ」の家庭だった・・・・。
※ 《YouTube-Nabucco(『ナブッコ』) - Hebrew Slaves Chorus (Red Square, 2013) 》https://www.youtube.com/watch?v=xDAqOuvR5YY

(2018.2.18.)

   次回、 カラフルな内壁・北口・カフェArt・「真珠をブタやるな」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201802/article_6.html


☆ 東京都美術館と「ブリューゲル展」
1.一族と非一族。「ブリューゲル」と「シュトラウス」・「小堀」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201802/article_1.html
2.日暮里乗りかえJR上野へ。東京文化会館前の像は安井誠一郎。http://tetsukenrumba.at.webry.info/201802/article_2.html
3.要塞 動物園前交番。仁こそ人の安宅vs裁判所・警察。五重塔 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201802/article_3.html
4.球形オブジェ。「蹴ったらあかん」。私立の美大なんぞ行くな! http://tetsukenrumba.at.webry.info/201802/article_4.html
5.正確に描くP=ブリューゲル1世とありえない木造「はなの舞」 〔今回〕
6.カラフルな内壁・北口・カフェArt・「真珠をブタやるな」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201802/article_6.html
7.倉庫型?博物館動物園駅南出口。エスカレーターは静止して乗りたい http://tetsukenrumba.at.webry.info/201802/article_7.html


☆ 東京圏の美術館・博物館
東京都
東京都美術館(台東区)(前川國男設計)とピーテル=ブリューゲル1世「バベルの塔」展
1.「ピーテル=ブリューゲル1世」とは。屋外燈の高さ http://tetsukenrumba.at.webry.info/201706/article_6.html
2.上野公園内における東京文化会館と東京都美術館 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201706/article_7.html
3.美術館へのアプローチ、「囲う」手法による美術館領域 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201706/article_8.html
4.高さを競う愚か、美術展と音楽会、公立進学校のメリット http://tetsukenrumba.at.webry.info/201706/article_9.html

東京都美術館と「ボストン美術館の至宝展」(台東区)(前川國男)
1. ゴッホと佐伯祐三の「郵便配達夫」http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_1.html
2. とがったオブジェは端 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_2.html
3. なぜルノワールか。発掘して自国に持ち帰る是非。http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_3.html
4. 東面のプランター http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_4.html
5. 北口・博物館動物園駅・池田家黒門・自由な女神http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_5.html
6. 通用門・事務棟・西面・公募展棟南面・椅子の背が窓から見える窓http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_6.html

国立西洋美術館「常設展」「ル・コルビュジェの芸術空間」展。
1. 展示作品と美術館の調和 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_1.html
2. 新館と中庭 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_2.html
3. モネの睡蓮は・・ http://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_3.html
4. ロダンの「考える人」って・・ http://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_4.html
5. 免振装置 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_5.html
6. 西美にルーツがある? と思える前川國男の建築 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201708/article_6.html

国立新美術館(港区)と「安藤忠雄展」
1.大江戸線「六本木」駅と千代田線「乃木坂」駅 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201711/article_7.html
2.外の円盤と屋内の逆円錐形の連動 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201711/article_8.html
3.逆円錐形の内部。ワイヤーの安全性 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201711/article_9.html
4.復元「光の教会」。信仰の教会と結婚式場用「教会」を一緒にするな。http://tetsukenrumba.at.webry.info/201711/article_10.html
5.「挑戦」させてもらった男と、させてもらえなかった男 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201711/article_11.html
6.別館(旧陸軍歩兵連隊兵舎)、光線で変化 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201711/article_12.html

国立新美術館と「ルノワール展」
国立新美術館(港区)(黒川紀章+日本設計共同体)
1.日比谷線「六本木」駅から国立 新美術館へ http://tetsukenrumba.at.webry.info/201605/article_1.html
2.外観。正面「円盤」の内部。 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201605/article_2.html
3.内部 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201605/article_3.html
(番外) [第251回]《屋上・バルコニー記事に関し、フリーダムアーキテクツデザイン(株)から脅迫まがいの文句を言われた件》http://tetsukenrumba.at.webry.info/201605/article_7.html 

根津美術館(港区)(隈 研吾) http://tetsukenrumba.at.webry.info/201603/article_1.html
サントリー美術館(港区)(「東京ミッドタウン ガレリア」内。 サントリー美術館の設計は隈研吾)
上 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201608/article_6.html
下 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201608/article_7.html

畠山記念館(港区)
1. http://tetsukenrumba.at.webry.info/201605/article_4.html
2. http://tetsukenrumba.at.webry.info/201605/article_5.html
3. http://tetsukenrumba.at.webry.info/201605/article_6.html

パナソニック汐留ミュージアム(港区)
http://tetsukenrumba.at.webry.info/201608/article_4.html
http://tetsukenrumba.at.webry.info/201608/article_5.html

東京国立近代美術館「茶碗の中の宇宙‐楽家一子相伝の芸術」展他見学
1. 国立美術館・国立博物館とは。私の毎日新聞社への思い出 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201704/article_7.html
2. 竹橋。企画展を追いかける弊害。「茶道」と相性が合わない理由。http://tetsukenrumba.at.webry.info/201704/article_8.html
3. 抹茶・緑茶と茶碗の調和。パブロフの犬みたいな「デザイナー」 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201704/article_9.html
4. 東京国立近代美術館内部、皇居への見晴らし http://tetsukenrumba.at.webry.info/201704/article_10.html
5. 東京国立近代美術館 工芸館(近衛師団司令部庁舎)、乾門http://tetsukenrumba.at.webry.info/201704/article_11.html
6・ 毎日新聞社ビルのでっかい土管の中は何? http://tetsukenrumba.at.webry.info/201704/article_12.html

千葉県
千葉市立美術館(千葉市中央区) http://tetsukenrumba.at.webry.info/201307/article_2.html

神奈川県
三渓園内 三渓記念館(横浜市中区) http://tetsukenrumba.at.webry.info/201606/article_4.html


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