東京都美術館と「ボストン美術館の至宝展」【4/6】東面のプランター、中庭を建物が囲む配置

[第317回] 東京圏の美術館(11)‐4
   東京都美術館は、JR「上野」駅から行く場合でも、京成「上野」駅から行く場合でも、あるいは、東京メトロ日比谷線「上野」駅などから行く場合でも、たいてい、南東側から進入して(「侵入」じゃないからね)、南側から1階の中庭を北に進んで階段かエスカレーターで「地下1階」の中庭に降りて、北側の棟の南側の入口から入ります。 美術展を鑑賞するために行った人は、その経路で進み、帰りも同じ経路を逆方向に進んで帰ることが多いと思います。 しかし、実は、東京都美術館というのは、「二毛作建築」というのか「四方美人建築」というのか、いずれも私が命名したのですが、この南東から進入して、南側の中庭から周囲を見まわした外観以外にも、四方にそれぞれの異なる顔を持っているのです。
    で、それを検討する前に、東京都美術館は、南が開いたコの字型の建物配置をしていたような気がしたのですが、それにもかかわらず、東側から入った経験があるので、東側の企画展棟と北側に東西に伸びる入口のある棟との間は空いていたのか続いていたのか、そこから検討していきます。
    結論として、1階から上は東側の企画展棟と北側に東西に伸びる棟とは離れています。↓
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    西側の公募展棟と北側の棟とはどうかというと、↓
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↑ こちらはつながっているようです。

   北側の棟の南に出入口があるのですが、そこへの進入路は、南側と東側からになっているので、東側からも入れるように東の企画展棟と北側の棟との間は1階から上は空いているようです。 
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↑  東京都美術館の東側から北側の棟の南側に進もうとした場合の進入口です。 南側の進入口が正門でこちらはサブの入口といった感じです。
  ちなみに、↑の写真で後ろ姿が写っているおじさん。 なんだか、孤独な男の背中がシブイ・・・て感じ、しませんか?  モデルさんを頼んだのではない。たまたま、通っていたおじさんです。 こういう建物の写真には、人はそこにいる方が自然であり、通っている人は写る方が自然で、人がいない時を狙って撮るというのは、特に建物の細部がどうなっているかを撮りたいという時はいいと思いますが、そうでなければ邪道と考えるべきです。かつ、人が写るといっても、わざわざ、モデルさん、もしくは、モデル業をやっている人でなくても、写真に写ってもらうために写り映えのいい人で、本来ならそこにいないような人を連れて行ってポーズを取ってもらうなんてのも邪道だと思うのです。 普段、そこにいておかしくない人が写るというのが王道だと思います。 但し、あまり近い距離からの場合は、黙って撮るのは写る人に対して失礼でしょうけれども、↑のように顔が写らない背中からの場合はいいのではないかと考えて撮らせてもらったところ、けっこういい感じ、建物より、「孤独な男の背中がシブイ」てそっちの方がいい感じで撮れました。ネスカフェゴールドブレンドのコマーシャルにでも使えそう・・・・? 〔⇒《YouTube-ネスカフェ ゴールドブレンド》https://www.youtube.com/watch?v=fYd2qsugZx4 〕

   実は、東京都美術館は、その外部を一周して見てまわるとけっこう面白いのです・・・・というか、「へえ、こうなっていたんだあ」と感心します。 ハウスメーカーの設計担当者って、外観デザインというと、南道路だと南面、東道路だと東面と南面、西道路だと西面と南面、北道路だと北面と南面くらいしか、考えていないということはありませんか?  ハウスメーカーといってもその会社にもよるわけで、高額物件が中心の会社もあれば、低価格商品中心の会社もあり、請負中心の会社もあれば「不動産屋の付属の会社」というのもあるわけで、それぞれ違うでしょうけれども、一般にそういう傾向があるのではないでしょうか。 ひとつには、今現在、建物が四方から見えるだけの広い敷地を持つ人が少ないということがあり、間取りの使いやすさと建物の外観ならあまり見えない面については使いやすさの方を優先させたいという人が多いということがあるとは思いますが、それにしても、外観デザインについては一方向か二方向しか考えていない建物が多いと思います。 又、考えていたとしても、2つ目の面は1つ目の面の続きであることが多いと思うのです。 しかし、東京都美術館は「続き」でないわけではないのですが、四方それぞれ違うのです。

    まず、東側の企画展棟を南東側から見ると↓
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↑  西側の公募展棟は、公募展スペースがいくつかに分かれていて、建物も雁行するようにグキッグキッとまがっているのですが、東側の企画展棟は全体でひとつの展示スペースで、中央噴水広場との間の↑の通路は北側の東京国立博物館の方に至る通路に沿って直線的というのか平らになっています。

  
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 面白いのは、その北の東からの進入路を隔てた北棟の東面です。↓
2階部分を拡大すると↓
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( ↑ クリックすると大きくなるので、ぜひ拡大して見てください。)
プランターがあって、つる性の植物がたれてきています。 よく見ると気づくが単に通り過ぎただけでは気づかない、そういうものが東京都美術館にはずいぶんと多いように思います。 前川國男は「ル=コルビュジェの弟子」ということになっていたようですが、屋上庭園の考え方がこのあたりに出ていたのでしょうか。
   自分が撮ってきた↑の写真を拡大してみて気づいたのですが、2階部分、タイル貼りでない壁面ですが、これはモルタルの上を横に意図的に櫛で軽く引いて筋を入れて模様としたのか・・・と思っていたのですが、そこにも、前川國男が好む「穴あきタイル」に合わせた「穴あき」がタイル貼りではないにもかかわらずあるのです。 よく見てください。ありますでしょ。

   ↓は、東京都美術館の北東側に出ていた東京都美術館の配置図なのですが、
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( ↑の図では、上が西、右が北、左が南、下が東です。)
↑の図を見ると、北棟と西側の公募展棟にはわずかに境があって途切れており、又、北棟も3つに分かれているのです。 実際に中に入ってみるとつながっているように思えたのですが、はて、これはどういうものでしょうか。
   もしかして、この東京都美術館は、1975年に前川國男設計の2代目の東京都美術館が建てられた時には、タイル貼りの西側の公募展棟と南東側の企画展棟、それの北側の棟の東よりのタイル貼りの部分が建てられて、「地下1階」の中庭から公募展棟の「地下1階」とそれを通して企画展棟の地下1階の入り、北東部の には別に「地下1階」から入るようになっていたが、後に北側の黒系の色彩でできた非タイル貼りの建物が増築された・・・・なんてことないか?  ル=コルビュジェが国立西洋美術館を設計した際に構想した、企画展棟と常設展棟、それに演芸館の3つの建物が中庭を囲うように配置されるという構想を、常設展棟を公募展棟、演芸館を講堂の建物に置き換えて実現しようとしたということではなかったのだろうか・・・。 ふと、そんなことを思ったりしました。

   さて、前川國男の設計の建物に、あちらこちらで見かける屋外燈。 悪いとは言わんが、というか、なかなかいいと思うけれども、しかし、あまりにもあちらこちらで見かけると、他のもの、思う浮かばんのか・・・て気がしてくるのですが、私が実際にその場に行って確認しただけでも、東京都美術館・熊本県立美術館・国立西洋美術館新館・東大本郷の山上会館と4箇所で見ましたが、それって、真下から見るとどうなっているんだろう・・・なんて思って撮影したのが↓
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↑ ですが、これは、別に下から見たからどうってものでもなかった。 間接照明としてのものだから、もとより、下から見るものではなかったかもしれない。

  次回、 北口・博物館動物園駅・池田家黒門・自由な女神http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_5.html

  (2017.10.17.) 

☆ 東京都美術館と「ボストン美術館の至宝展」
1. ゴッホと佐伯祐三の「郵便配達夫」http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_1.html
2. とがったオブジェは端 http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_2.html
3. なぜルノワールか。発掘して自国に持ち帰る是非。http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_3.html
4. 東面のプランター 〔今回〕
5. 北口・博物館動物園駅・池田家黒門・自由な女神http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_5.html
6. 通用門・事務棟・西面・公募展棟南面・椅子の背が窓から見える窓http://tetsukenrumba.at.webry.info/201710/article_6.html 


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